



おとぎの国のアリスは…… ある日のこと、不思議な欠片を拾いました。
その欠片は、数多(あまた)なる物語の破片が砕け散ったもの。
アリスは自分が物語の主人公だったとは知らず、お菓子のように輝くその欠片を一粒、口に含んでみることにしました。
まるで、わたあめのようなその味は――自分が雲の上で寝ているかのような柔らかさ。
永遠の眠りの中に閉じ込められた、不思議な物語の夢のをアリスは雲に揺られながら漂っていきました。 突然、雲がパラパラと崩れていき、アリスは空を真っ逆さまに落ちていきました。
――きゃああっ、おちる……っ!!
おっと、大丈夫かい?
アリスはふわりと誰かに抱き止められ、お日様の薫りのするその人は……なんと、ウサギのような耳がピョコンと生えている……自分とは全く異なる服を着た不思議な人でした。
――あ、あの、ありがとうございます。 いいや、礼には及ばないさ。少し驚きはしたけどね。 彼はアリスをゆっくりと地面に下ろしてやりました。
「僕は、ズズ。ズズ・ホーランドだ君は……?」
「私は……アリス……アリス・ロットレイズ」
「えぇ?アリス!?君、まさかあの……!?何て事だ、君がアリス……!?」
「そうだけど……」
「アリスは僕らの宝物なんだ。君が本当にそうだとしたら……いいや、だめだ、だめだ……!」
「やっぱりだめだ、君が見つかったら……一大事だ!――そうだ、名前を変えるといい!そうに決まってる!」
「ええ??名前を変えるって?宝物って何?理由を教えて!」
「うーん!アリシア……そうだ、君は今日からアリシア・ロットレイズと名乗るといい!!」
「……ええっ?」
「大事なこと!いい?ぜったいね?」
――そうして、アリスはアリシアと名乗り、ズズと共に長老に会いに村まで歩いていったのでした。